クリスマスを祝うクレッシュ

教会のクレッシュ
教会のクレッシュ

日暮れ時が少しずつ早まり、あったか~い野菜スープが美味しい12月。カトリックの国フランスはクリスマス一色に染まります。夕暮れの街にはイルミネーションの花が咲き、町の広場には見上げるようなクリスマスツリーが一夜にして姿を現します。石造りの教会もライトアップされ、一年中で一番美しく見える時期です。クリスマスに欠かせないのが、キリスト降誕の情景を伝える「クレッシュ」Crèche。この言葉はフランク語の「飼い葉桶」を意味するkrippaに由来し、家畜小屋でキリストを生んだ聖母マリアがキリストをその中に寝かせたと福音書に書かれています。小さな人形を使ってクレッシュを飾ることが多く、村や町の教会では大切に保存される人形が毎年12月に飾られます。教会の片隅に小枝や藁で小さな家畜小屋があしらわれ、聖母マリアとヨゼフ、そして牛とロバの人形が配置されます。12月24日の夜には、幼子イエス・キリストが、1月6日の公現祭にはイエスの降誕を祝いに訪れた東方三博士の人形が加わります。

一般家庭でクリスマス・ツリーの下に飾られるクレッシュにはサントン人形が使われます。赤土の粘土を固め、焼き上げた後、色づけされたサントン人形は南フランスはプロヴァンス生まれで、「小さな聖人」を意味します。高さ約7cm前後の人形が作るプロヴァンス風クレッシュには羊飼い、漁師、パン屋といった働く人々の人形が登場するのが特徴です。12月にマルセイユで開かれるサントン市はクリスマス前の大切な年中行事となっています。

サントン人形
サントン人形
サン・トロペの港と教会
サン・トロペの港と教会