ラ・ヴェルヌ修道院

モール山塊(Massif des Maures)の奥深く隠れた場所にラ・ヴェルヌ修道院Chartreuse de la Verneがあります。交通量の多い国道98号線から数十km離れているので、真夏の観光シーズンでも信じられないほど静かです。数百年の歴史があり、創設は1170年に遡ります。数回にわたる火災と宗教戦争で建物は大きな被害を受けました。フランス大革命直後に修道士たちが追放されてしまいます。修道院の変遷はフランスにおけるキリスト教の歴史をも物語っています。しかし、1968年から続けられるボランティアの人々の努力が実り、メセナの寄付金が生かされ、修道院は見事に蘇りました。教会、中庭を囲む修道者の個室など、繁栄していた往時の姿が忠実に復元されています。1983年からベツレヘム修道会のシスターたちが移り住み、ボランティアの協力を得て、一般公開されています。

真っ青な地中海を背にして、サン・トロペ湾からコロブリエールへ通じるカーブの多い山道を進むと、深い山の中腹にラ・ヴェルヌ修道院が見えてきます。勾配のきつい山に突き出したような、台形の土地いっぱいに棟が配置されています。まるで、人を寄せ付けない自然が護る要塞のようです。周りには何一つ他の建造物は見当たりません。コルクガシ、イチゴノキなど、常緑樹が多い山は冬も深い緑色で覆われています。ただ、秋になると修道士たちが植えた、樹齢百年を超える栗林が色づき、季節の移り変わりを知らせます。

正面の入口
正面の入口
修道院の墓地
修道院の墓地
湧き水
湧き水